ある天下りの話

 会社に入って数年が立ち社会のことが少しづつ分かりはじめたころのことである。

 定年まじかの私の上司がある日を境に突然子会社のある管理職の一人を毎日のように怒り始めたのである。それがひと月あまり続くとその管理職の人はノイローゼ気味になりやがて降格になってしまったのであるがその空いた管理職のポストに定年を迎えた私の上司が天下ったのである。さらに付言すれば降格された管理職の人は勿論子会社のプロパー社員であった。50年位昔の話である。今どきの若者は・・・とよく言われるが当時はこういう管理職があちこちにいたのである。彼らは若い時代を戦争の中で過ごした人たちであることも付け加えておく必要があるように思う。